【画材選びのヒントと知識】原毛の種類

カバー画像

画家の技法が千差万別であるように、画筆も用いられる毛の種類、形状など多くのタイプがあります。また、その評価も使用する画家の技法によって細かく分かれます。いずれにしても、その微妙な要望を幅広く満たす画筆づくりは、長い歴史に培われた職人の手作りによるものが最良とされています。

毛の種類

コリンスキー アイコン

コリンスキー

イタチ(セーブル)の一種。最高級、最高品質の原毛と言われています。きれいな紡錘形(流線形)をしており、他のイタチ毛に比べ毛足が長く弾力があり、含みが良く耐久性にも優れています。

レッドセーブル アイコン

レッドセーブル

イタチ(セーブル)の一種で、弾力と穂先のまとまり、絵具含みの良さを持った高品質な原毛です。

イタチ アイコン

イタチ(セーブル)

コリンスキーを含めてセーブルと総称する場合が一般的で、油彩、水彩、日本画筆に使用されています。コリンスキーよりは毛が短いが、弾力と穂先のまとまり、絵具の含みの良さを持っており、軟毛の代表的なものです。

リス アイコン

リス毛

セーブルのような弾力はありませんが、柔らかく細かいので絵具の含みが非常に良く穂先もよくまとまるので、主に水彩画筆として用いられています。

豚 アイコン

豚毛

油彩画用の代表的な原毛。粘りに負けない弾力と耐久性があります。豚毛特有のカールをうまく利用した先のまとまりは熟練した職人の手によるものです。

馬 アイコン

馬毛

最もポピュラーな筆用の毛です。特に胴毛や足毛がよく使われ、油彩画筆、水彩画筆、日本画筆などに利用されています。

羊 アイコン

羊毛

“羊毛”は中国産のヤギを指し、ヒツジとは異なります。羊尾と呼ばれる尾毛は柔らかく弾力に富み、耐久性にも優れ、穂先のまとまりが非常に良いのが特徴です。

狸 アイコン

狸毛(ラクーン)

毛の根元が細く先が太い形をしており、穂先に向かってふっくらした形状となります。絵具の含みが良く、軟調の毛質なので薄い絵具を塗る時やデリケートな部分を描く時に用います。

ウォーターバジャー アイコン

ウォーターバジャー(ムジナ科)

水狢とも言います。豚毛より軟調で、描き込みや仕上げに適しています。毛元が粗くて太く、コシが特に強い一方、毛先は非常に細くなっており穂先もよく利きます。

バジャー アイコン

バジャー(イタチ科)

ムジナ、アナグマとも言います。コシが強くウォーターバジャーほど繊細ではないものの、含みが良く軟調の毛質なので薄い絵具を塗る時やデリケートな部分を描く時に用います。

ナイロン アイコン

ナイロン

毛先を天然毛のように先出し加工した人工毛。弾力があり穂先のまとまりが良く、量産できるため安価です。アクリル画用によく使われますが、リセーブル毛のように特殊加工していないため、微妙なコシの粘りにやや物足りない点があります。

リセーブル ロゴ

リセーブル

特殊加工した合成繊維毛。天然毛の特徴であるキューティクルにより近い、ウォータースポットと呼ばれる凹凸があり、合成繊維毛の絵具含み不足をカバーしています。耐久性、弾力、穂先のまとまりが良く、さらに太さの異なる複数の原毛を混ぜ、絵具含みを向上させています。

疑似イタチ毛 アイコン

疑似イタチ毛

天然イタチ毛を再現した新たな合成繊維毛です。イタチ毛に近いしなやかさと、絵具含みの良さが特徴です。

コリンスキー原毛はなぜ良いの?

コリンスキー原毛のコシの強さと含み

高級画筆でよく使用されているコリンスキー原毛はなぜ良いとされるのでしょうか。
画筆に求められる性能は大きく2つあります。一つは「絵具含み」もう一つは画面に擦っても負けない「コシの強さ」。この両方をバランスよく叶える原毛がコリンスキー毛なのです。

獣毛にはキューティクルという階段状のひだがあり、細かいほど絵具の含みが良くなります。コリンスキー毛には微細なキューティクルがあり、毛の内部に大きな空洞を持っています。この空洞により竹のような強靭さとしなやかで強いコシが生み出されています。

コリンスキー原毛を使ったホルベイン画筆

[https://shop.holbein.co.jp/products/holbein-103041]

[https://shop.holbein.co.jp/products/holbein-204351]

[https://shop.holbein.co.jp/products/holbein-200947]

表皮の顕微鏡写真

コリンスキー原毛 表面
コリンスキー原毛のキューティクル
狸毛 表面
狸原毛のキューティクル
コリンスキー 断面
コリンスキー原毛の内部
狸毛 断面
狸原毛の内部

従来の画筆を凌ぐ筆、リセーブル。

近年、環境破壊や地球規模での自然環境の悪化、またワシントン条約や各国の動物保護条例などにより、画筆に使用される天然の動物毛は入手が困難になりつつあります。特に、従来から高級筆の原毛として珍重されてきたセーブル(イタチ科の動物の毛)は、その希少性から今なお非常に高価な素材です。

そこでホルベインが開発したのが、独自の人工毛「リセーブル」です。リセーブルは、1本1本に特殊処理を施した合成繊維(ナイロン繊維)に、それぞれの用途に応じた天然の獣毛をブレンドすることで生まれた、ホルベイン独自の画筆です。

ナイロン繊維を1本ずつ特殊加工することで、天然セーブル筆特有の滑らかな感触や穂先のまとまりを再現。さらに、天然毛の表面にある「キューティクル(階段状のヒダ)」に近い凹凸構造「ウォータースポット」を持たせることで、一般的な合成繊維毛にありがちな絵具含み不足という弱点を克服しています。
加えて、太さの異なる複数の原毛(最も細いもので0.05mm)を組み合わせて配合することにより、絵具含みをさらに向上。まとまりの良さとコシの強さはそのままに、しなやかさと弾力を兼ね備えた画筆に仕上げています。
※「リセーブル」はホルベイン画材株式会社の登録商標です。

リセーブル原毛を使った画筆

水彩用

プロリセーブルパラリセーブルブラックリセーブル水彩用リセーブルデザイナーズリセーブル

油彩用

リセーブル1100シリーズハードリセーブル油彩用リセーブルプロリセーブルパラリセーブル

※リセーブル顕微鏡写真
※従来のナイロン顕微鏡写真